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神殿娼婦


佐伯さんとのメッセージのやり取りの後どうにも気になって田口ランディ「コンセント」(幻冬舎文庫h14発行8刷)を読んでいます。当時読んで衝撃を受けた話だったんですが、今読み返してみると、10年以上経てから自分の小説に部分的に投影されていました。(びっくり)


以下は引用です(自分の小説とは関係ないです)。P194 保存用です






 


「シャーマンは、壁についている穴のほうね。その穴は見えざる世界と繋がっているわけ。そしてね、シャーマンを訪れる人は自分のプラグをコンセントに差し込むわけだよ。そうすると、神様の世界と繋がることができる」


「なるほど……」


「コンセントってのは和製英語なの。つまり日本語。もともとは共に調和し共感する、という意味のラテン語なのよ」


 兄が持っていたのはコンセントではなくプラグだった。ということは兄は差し込むべきコンセントを探していたということなのだろうか。


「コンセントって、電気を使う時に必要でしょ? つまりエネルギー供給 のための道具なんだよ。シャーマンの場合もね、生きるエネルギーを消耗しちゃった人たちがやってきてエネルギーをもらうわけ。かつて共同体にはそういう生 命エネルギーの供給口になる存在がたくさんあったんだよ。人間はパンのみにて生きるにあらず。気力がなければ死んでしまう。人間が生きるためにはなんらか の霊的なエネルギーみたいなものが必要なんだと思うのよ」


(中略)


「その場合、コンセントから流れて来るエネルギーは何なの?」


 山岸は静かに笑った。


「異物だよ」


「異物? 異なるモノってこと?」


「そうだ。人間の心は異物を吸収し、消費することでエネルギーを得ているんだ。肉体のシステムと心のシステムは相似形だ。あらゆる異物を取り込み、それによって発電する。異物とはつまり外的刺激だ。人間が感じる五感はすべて異物なんだ」


「じゃあ、コンセントを抜くということは、異物を取り込むのをやめるってことなの?」


「そうだ。あらゆる刺激をシャットアウトすることだ。刺激がなくなると自我と世界の境界がなくなり、世界と自分はひとつになる。ハタから見れば自閉だが、本人にとっては内的世界との完全な融合だ」
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