昨日、IT技術者で技術書の著者でもある人と近況報告の会をしたんですが、面白い話を聞きました。
同じ出版界でもIT系と文学系ではこんなにも違うものかと驚きました。アマゾンのKDPが負けるかもしれないというイノベーションの話です。
すでにご存知でしたらすみませんご容赦下さい。
話を要約するとこうです。
・従来の電子書籍のような閲覧権販売ではない、無料登録で本を売るor本を買うサイトがある
・本を読むためのブックリーダーをインストールする手間が無い(PDF販売)
・KDPより美しい誌面の電子書籍を無料で作れる
・その日にサイトにアップできる(18禁以外は内容の審査が無いから)
・手数料は3.6パーセント https://booth.pm/guide 96.4%著者のもの
・KDPのような内容審査やaccount停止も今のところ殆ど無さそう
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コミケについては皆さまご存知かと思います同人誌販売で著者が手売りをします。
IT技術者もそれ専門のコミケ?があり「技術書典」と言われております。
たった1日で7000万以上のお金が動くそうです。年2回開催で今年が6回目、年々利用者が増えており取引額が億を超えるのもそう遠い話ではない様子です。
昨日会った人は160Pの自作本を1500円で300部、開始1時間で売り切ってしまってあとは電子書籍(後述のパスワードカード)を売ったそうです。
コミケも技術書典も欠点があります。それはたった1日しか販売できないという事なんです。そして地方の人は買うのに不利、という欠点があります。
しかしそれをカバーするためのサイトがすでにあったんです。
https://booth.pm/ja
登録無料で、ここで(紙でも電子でもどちらでも対応しておりますが)自作本を売るとサイトが手数料を4%くらいとります。電子書籍も同じ利率です。
つまり売り上げの96%を著者が取ります。
紙本の発送などは、依頼すれば有料で代行してくれます。
電子書籍の販売については、ダウンロードの際にパスワードを入れる方式になっています(これが一番安価にサイト運営できる方法だと思います)。
つまり著者はそのパスワードを読者に1000~1500円で売るんです。
アマゾンの電子書籍は本の閲覧権を買う仕組みになっています。
どういうことかというと、突然消滅する危険性があるという事なんです。
ところがこのboothはまさに「本を買う」「本を売る」なんです。
肝心の本作りですが、IT技術者はすごく良いフリーソフトを作って無料配布しているんです。インデザインみたいな高いソフトは使いません。
そのソフトはRE:view(リビュー)と言って、オープンソースになっており、IT技術者の有志が無料でソフトを改良して広めているんです。
https://github.com/kmuto/review
このリビューはTeX(テフ)という論文用文書作成ソフトを使って作られているそうですが、誌面レイアウトを自動で調整してくれるんだそうです。
現物を見せてもらったのですが本当にきれいな誌面でした。
日本人向けのリビューは、とんぼとかノンブルとかあたりとか馴染みのある
編集用語を使ってあるそうです。(同人誌の印刷所向けになっている)
これで本を作ってサイトに上げるとその日から本が売れるんだそうです。
もちろん普通のワードからPDF変換で本を作っても大丈夫です。
という話でした。手軽。無料。著者総取りに近い。
アマゾンKDPが一つも勝ててないのが凄いです。