■この本は都々逸(どどいつ)の同人誌だと思うのですが、冊子の最初に長谷川伸先生の原稿が載っているのです。それで買ったのね。
■発行は昭和12年、発行所は都々逸作家協会。金30銭です。
■私が面白いと思った都々逸を少し書き留めておきます。(適当に現代仮名にしてます)
■4作目の髷っていうのは丸髷=人妻の髪型=妻という事かと思います。島田=島田髷=未婚の女。女が乱れた髪を直すのを布団の中から腹ばいになってみている男に投げかけた一言、という情景が浮かびました。
■どの都々逸も情景と付随するストーリーが目に浮かぶのです。凄いね。
・片親の 訳に素直にうなづく坊へ
涙がにじんで止まる針 孝雄
・ちゃぶ台が、机にもなる間借りでやっと
持てた所帯にすぎた髷 三絲
・見飽きてる でしょうあたしも結いあきました
髷になる日の無い島田 赤坂 櫻川梅兒
・憎い奴だが幸福だろか
見れば立派な門構え 浅草 内山亜水
・朝顔は、蔓を垣根に残して枯れて
未練を搦める夏の夢 浅草 内山亜水
・夜行を送って寂しい独り
風も冷たい雪の駅 両国 鍵家弥の助
・添うまでの、苦労の山ほど大きい髷を
結ってかるがる持つ手桶 北原龍郎
・真っすぐな、箸でも入れれば曲がって見える
水という字のつく稼業 初音