【山岳信仰の歴史と民俗】←講演に行ってきました。
鈴木正崇山岳修験学会学会長の講演1
もっとも印象深かったトピックは「胎内回帰」
・修験道での山中修行を「胎内修行」といい、275日間山にこもるその日数は母の胎内にいる日数を模している。
・山岳修行を行う者は山に入る前に疑似葬儀をしていったん死ぬ。山に分け入ることで受胎を模する。
・無垢な状態で山に入り修行によって人格を形成する様子を胎内で人間が育つ様子と対比させている
・修験の根底には「母なる山」という考えがあり、これが道教と全然違うところ
・山は女神。なので女人禁制(特に美人はNG.女神が嫉妬するから)
・修行を終えて山から駆け下りて来る事を「出成(でなり)」というが、声を上げながら山道を駆け下りる事が、赤ん坊が産道を通って生まれる様子を表現している。
・「人の噂も75日」といい母体内に居る日数を275日と言うが、75という数字には意味がある←よく聞き取れなかったが、大昔、諏訪大社に毎年75頭の鹿を奉納するなど、75という数字が大事な意味を持っている。
博物館入館料:300円
講演料:300円
【追記】
【山岳信仰の歴史と民俗】2 講演者:山岳修験学会長・鈴木正崇
★開山伝承
・日本の神仏習合の歴史は長く1000年以上
・山は神仏習合の世界
・この状況を激変させたのは明治元年発令の太政官令「神仏判然令」
・仏教が伝わって以降、多くの寺院が修行の場として山を選んだ
・日本には多くの「開山伝承」が残っている
・山を開山するのは僧侶、先住民、漁師、私度僧、優婆塞、聖、禅師、巫者など雑多。
・開山者は先行者の導きで山に入り、神霊や仏と出会う
・山は川の源(命の源)という考え
・開山伝承の多くは平城京への遷都以降←恣意的ではないか
・律令国家成立と開山の時期を合わせる措置をしたのでは
・開山者にはヨリ(憑依)、ワカ(童子)、フリなどの名前が付与されている
・立山、伯耆大山、羽黒山など、禁忌を破って山に登る女性のトランニ、トラは巫女の一般名では←柳田邦男説
・前述トラは各地にある寅子石伝説のトラじゃないかな?←私の考え
・歴史学者は開山伝説は史実ではなく開山者の多くは実在しないという立ち位置で研究対象にしない
・禁足地に立ち入るための理由としての開山伝承では?という意見が主流っぽい
・山の頂上で古代の祭祀の道具などが発見されたが、一番古くて奈良時代
・山の神の出現形態は水晶(熊野山・彦山)、九頭竜(白山・箱根・戸隠)、鬼など
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